妻を貰えばなお這入れやしないと主人はむずかしい顔をして云った。 まさかそこへは打つまいと思って、いささか駄弁を振って肝胆を砕いていたが、やッぱり駄目か つよく張った琴線の一部だけがきらきらと白く眼に映ります。 夫はあくまでも夫で妻はどうしたって妻だからね。 え？ それでこそ独仙君だ ひやひやと迷亭君が手をたたくと、苦沙弥君はにやにや笑いながらこれでなかなかそう甘くは行かないのだよと答えたら、みんな一度に笑い出した。 しかし今から千年も立てばみんな実行するに相違ないよ。 どうしても猫とビールは性が合わない。 東風君、僕は実に情けなくって泣いたよ 独身の僕まで聞いてるよ 勝ちたくても、負けたくても、相手が釜中の章魚同然手も足も出せないのだから、僕も無聊でやむを得ずヴァイオリンの御仲間を仕るのさと云うと、相手の独仙君はいささか激した調子で しかし死ぬばかりだぜ 構わんじゃないか、人が二百や三百通ったって、君はよっぽど妙な男だと主人はぷんぷんしている。