MV12 ツバメノート B5ノート B罫 6ミリ 35行 W100S細

こんな乱暴な髯をもっている、こんな乱暴な男が、よくまあ今まで免職にもならずに教師が勤まったものだと思うと、始めて日本の広い事がわかる。 こんな面白くない人の家へただ遊びにくる訳もなかろうし、また辞職勧告ならもう少し昂然と構え込みそうだし、と云って武右衛門君などが一身上の用事相談があるはずがないし、どっちから、どう考えても主人には分らない。 だから、話しにくいと云うんです 妙な事にこの男は主人と同じく懐手をしたまま、無言で突立っている。 じゃ、なあに？ どうも品数が足りないようだ事。 その鉄扇は大分重いものでございましょう だけどこないだのように蝙蝠傘を買って下さる御金があるなら、保険に這入る方がましかも知れないわ。 　姉のとん子は、自分の箸と茶碗を坊ばに掠奪されて、不相応に小さな奴をもってさっきから我慢していたが、もともと小さ過ぎるのだから、一杯にもった積りでも、あんとあけると三口ほどで食ってしまう。 君驚ろいたろうと迷亭君は主人を驚ろかしたつもりで大に喜んでいる。 　今日はあれからちょうど七日目である。 こないだコロンバスを訳して下さいって大に弱った 君のようないたずらものに逢っちゃ叶わない どんな事かね。