南郷街道をついに二丁来て、鷹台町から市内に這入って、古城町を通って、仙石町を曲って、喰代町を横に見て、通町を一丁目、二丁目、三丁目と順に通り越して、それから尾張町、名古屋町、鯱鉾町、蒲鉾町…… それから床を出て障子を開けて、椽側へ出て甘干しの柿を一つ食って…… そうですね。 利かないから不平だ。 この猫は母と対面をするとき、挨拶のしるしとして、一匹の肴を啣えて出掛けたところ、途中でとうとう我慢がし切れなくなって、自分で食ってしまったと云うほどの不孝ものだけあって、才気もなかなか人間に負けぬほどで、ある時などは詩を作って主人を驚かした事もあるそうだ。 きっとわかれる。 幸い工兵が演習のため道を切り開いてくれたから、登るのに骨は折れない。 たいていのものは君に逢っちゃ根気負けをするね 世態人情の変遷と云うものは実に不思議なもので、迷亭君の未来記も冗談だと云えば冗談に過ぎないのだが、その辺の消息を説明したものとすれば、なかなか味があるじゃないですか 碁はまずいが、度胸は据ってる 向後は旧に倍し待ったを仕り候。 二十分ほど茫然としているうちに何だか水晶で造った御殿のなかに、たった一人住んでるような気になった。 何里くらいあるんですかと聞いた。 これからがいよいよ巧妙なる詐偽に取りかかるのだぜ。